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1 : トレーナー 2025/02/02 18:45:56 ID:x99bA5ih.Y
「あたしに、豆まきの鬼役をやって欲しいって?」
 次の休日は、節分だ。
 大井の商店街もそれにあやかって、節分のちょっとしたイベントを開くらしい。
 そこで、大井の人気ウマ娘であるイナリワンに指名がかかったのである。 
「ああ。商店街の人から衣装を渡された」
「衣装って……この時期にあんまり薄い服は着たくねえぜ、ダンナ」
 座布団に座り、手足をこたつに突っ込んでいるイナリに、紙袋から鬼役の衣装を取り出してみせる。
 虎柄の衣装に、鬼の角を模した耳カバー。
 鬼の衣装は、ゆったりとした長袖で、丈は長く、イナリの膝くらいまでありそうだ。
「これなら良さそうだろ?」
「おおっ、商店街の奴らも気が利くじゃねえか。これなら衣装の下にいろいろ着込めばあったかそうでい」
「試しに着てみないか?」
「よし来た!ちゃちゃっと着替えてくるぜ」
 イナリはこたつから出ると、衣装を持って洗面所に入った。


2 : トレーナー君 2025/02/02 18:46:34 ID:x99bA5ih.Y
 待つ事数分。なかなかイナリは出てこない。
 耳カバーを付けて、衣装を上から着るだけだ。そこまで時間はかからないはず。
 少し心配になり、洗面所の扉を軽くノックする。
「イナリ?大丈夫か?」
「だ、ダンナ。これを見せるのは、ちょいと……」
「俺は気にしないさ。衣装を見せてくれ」
「わ、分かったよ……」
 扉が開き、衣装を着たイナリが出て来た。
 虎柄の服に、二本の角が付いた頭。
 ささいなイタズラを仕掛けては人を困らせる、絵本に出て来る小鬼そのものである。
 衣装を着たイナリは、確かに節分の鬼の恰好だった。


3 : トレーナー君 2025/02/02 18:49:11 ID:x99bA5ih.Y
 ただ、問題が一つ。 
「腹周りがよ、どうやってもこうなるんでい」
「ああ、なるほど……」
 衣装は、イナリの膝くらいまで丈がある。
 そのせいで、イナリの胸から布が垂れるような形でテントができてしまい、ウエストが物凄く太く見えてしまっていた。
 さながら、虎柄のドラム缶である。
「とんでもなく太ったみてえで、ダンナにあんまり見て欲しくねえっていうか……」
「俺は気にしないさ。それに、イナリの腰が細いってのは、きちんと知っているからさ」
「ダンナ……」
「でも、イナリが太っているように見られるのは気に入らないな……」
 俺は、イナリのイメージがダウンすることを考える。地元の人たちは気にしないだろうが、外部の人が来る可能性を考えると、良くない影響が出そうな気もする。
「どうする?断ろうか?」
「てやんでい!せっかく商店街の連中が頼ってくれているんでい!断ったら江戸っ子ウマ娘の名がすたるってもんよ!」
 そう言って、イナリは胸を張ってみせるのだった。


4 : 貴方 2025/02/02 18:50:37 ID:x99bA5ih.Y
 節分当日。
 俺は、イナリと商店街のイベントに参加していた。
 主に俺は、露店で豆まき用の豆を売る役。
 イナリは露店の傍に立ち、鬼役として、豆を買った子供たちに豆を投げられる役だ。
「鬼は外!福は内!」
 と子供たちは、元気よく声を上げながら豆を投げ、
「うわー!やられちまったー!」
 と、イナリは豆を受けてやられる演技をする。


5 : 貴様 2025/02/02 18:50:54 ID:x99bA5ih.Y
 しかし、恰好が虎柄のドラム缶同然のせいか、顔見知りの子供たちからこんな声があがる。
「食らえデブイナリ!」
「太っちょイナリ!太っちょイナリ!」
「幸せ太りしたんか!?イナリ!」
 かなり直球な言い方に、思わず子供たちに何か言うべきかと思った。
 しかしイナリは、鬼役に徹し、
「おうおう!どんどん投げて来いってんだ!きちんと『鬼は外、福は内』って言わねえと効かねえぜ!」
 と笑って見せるのだった。


6 : トレーナーさん 2025/02/02 18:51:45 ID:x99bA5ih.Y
 休憩時間になった。
 俺は商店街のおじさんに店番を代わってもらい、露店の裏で休むイナリの元に向かう。
 イナリは、商店街の人が用意してくれた、折りたたみ式の椅子に座っていた。
「イナリ、大丈夫か?色々言われていたが……」
 自販機で買った暖かいお茶を渡すと、イナリは威勢よく笑ってみせる。 
「てやんでい、あんなの悪口に入らねえよ。それに、親御さんたちからあんなに謝られちゃ、許さねえってわけにもいかねえさ」


7 : お姉ちゃん 2025/02/02 18:52:11 ID:x99bA5ih.Y
 イナリの言う通りだった。
 あの後、イナリに悪口を言った子供たちの親は、子供の頭にげんこつを落とし、
「イナリちゃんごめんね。うちの子がひどい事言っちゃって」
「せっかく手伝って貰ってるのに、本当にごめんなさい……」 
「うちのタマにはきちんと言っておくから、本当にすまない……」
 と、しきりに頭を下げたのだった。
「けど、イナリが辛いなら今からでも……」
「ダンナ、気にすんなって。いつもの心配症なとこが出ちまってるぜ」
「話を通したのは俺だから、申し訳なくて……」
「だったらよ、これが終わったら、家で改めて節分をしようじゃねえか」


8 : トレーナーさま 2025/02/02 18:53:23 ID:x99bA5ih.Y
 イナリは椅子から立ち上がって、腰に手を当てた。
 すると、テントの部分が潰れ、豊かなバストのラインがくっきりと浮かび上がる。
「なあ、ダンナ?」
「い、イナリ、やめろって」
 ずい、とイナリは身体を寄せてくる。
「なんだい?あたしはいつもみてえに、腰に手をやってるだけだぜ?」
 イナリは、イタズラを企む子供のように、にやりと笑ってみせた。
「節分と言やあ、恵方巻だろ?口に入りきらねえくらい、でっかい"恵方巻"を、景気よく食っちまいたいよな?」
 衣装越しに触れる身体が熱い。下に何枚か着ているはずだが、それを通して熱い体温が伝わってくる。
「それに、歳の分だけ豆を食わねえとな?へへっ、"豆"がうまいからいつも食いすぎちまうけどな」
 心臓が跳ね上がる。これは節分の行事のことだと、自身に言い聞かせる。


9 : マスター 2025/02/02 18:53:52 ID:x99bA5ih.Y
 さらに、イナリは声を潜めて言った。
「最後には、"鬼は外、福は内"って……たんと"豆まき"しないとな?ダンナ」
 見上げる瞳は、熱を帯びてギラギラと光っていた。
 心臓の音が加速する数秒間。小鬼のイタズラにしては、あまりに過激すぎる。
 それから、イナリはさっと身体を離した。腰から手が離れており、体型は元のドラム缶に戻っている。
「おっと、そろそろ休憩も終わりだな。後半も頑張っていこうぜ、ダンナ!」
「あ、ああ。頑張ろうな」
 先ほどの会話は何だったのか。
 俺は、努めて心を無にして、客たちに豆を売るのだった。 


10 : キミ 2025/02/02 18:56:18 ID:x99bA5ih.Y
 その後、特に問題が起きることは無く、商店街の節分イベントは終了した。
 例年より節分の品が良く売れたと、商店街の人たちが喜んでいたからか、イナリも嬉しそうだった。
 それから、俺とイナリは家に帰って、節分を楽しんだ。
 イナリは雰囲気が出るからと、鬼の衣装のまま、恵方巻をくわえ、豆を食べた。
 そして俺は、小鬼のイタズラにお仕置きするように、イナリに豆をまいてみせたのだった。
『鬼は外、福は内』と。


11 : トレ公 2025/02/02 18:56:49 ID:x99bA5ih.Y
【終わり】


12 : トレーナー君 2025/02/02 19:02:30 ID:x99bA5ih.Y
ご清聴ありがとうございました。スーパーで節分の豆が山積みになっているのを見た時に考えたSSです。


17 : あなた 2025/02/02 23:15:12 ID:wLr21bTh4g
良きかな…


16 : トレーナー 2025/02/02 22:02:25 ID:ZgZMEjiIfs
結局コンコンしただけやんか


15 : ダンナ 2025/02/02 21:18:55 ID:SlzqntYYxg
鈍くさくてでべそのまん丸いデブ鬼ってことで通しましょう。
イナリは女の子とはいえ・・・


13 : お姉さま 2025/02/02 19:05:14 ID:.6OkV39L3A
タマはなにやってんだ



引用元:節分のイベントに参加するイナリワン





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